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研究内容

1.   ライフサイクル設計のためのモデリング支援環境の開発

1.1. 研究背景

近年,地球温暖化や資源・エネルギー枯渇問題に代表される様々な環境問題が深刻化しています.この要因のひとつに,産業革命以降の大量生産・大量消費・大量廃棄型の産業システムが挙げられると指摘されています. 深刻化する環境問題を解決するためには,従来の産業システムから脱却し,地球環境への負荷が小さく,なおかつ資源を無駄に消費しないモノづくりへの転換が必要と言えます.

その実現に向けては,製品を作って売って終わるのでなく,使った後も含めた製品のライフサイクル全体を対象とし,それ全体で消費する資源やエネルギーを最小化し,またCO2やNOxなどの環境負荷物質を排出しないモノづくりを行うことが重要なミッションです.

 

1.2. 環境配慮設計

3R(Reduce, Reuse, Recycle)をキーワードに,「家電リサイクル法」や「自動車リサイクル法」など,各工業分野において法整備が進み,生産者にとっても消費者にとっても環境配慮型の製品は身近なものとなってきています.今や多くのメーカー企業が,リサイクルを実施しています.しかし,その多くは,廃棄の代替案としてのマテリアルリサイクルやエネルギーリカバリーが殆どであり,廃棄物を削減することを目的としているのが実情です.また,リサイクルよりも効果が高いと言われているリユースは,ごく限られた製品でしか行われていません.

製品ライフサイクル全体で環境負荷や資源・エネルギー消費量を最小化するように,3Rを上手く取り込んで,資源を効果的に循環させる設計図を作成することが重要となります.このように製品とそのライフサイクルを設計していく方法として,「ライフサイクル設計」と呼ばれる設計が挙げられます.

 

1.3. ライフサイクル設計とは

ライフサイクル設計は,製品を設計する際に,その製品の一生にわたってどのような処理(リサイクルやリユース,メンテナンスなど)を施すかといったライフサイクルフローをも併せて設計する方法であり,上記の問題への対応に取り組む製造業者にとって,有効な手段の一つと言われています.これはひとえに,製品特性が異なれば適した処理の方法が異なり,またひとつの製品でもその構成部品ごとにリユースかリサイクルのいずれがよいかは変わってくるからです.

1.4. LC-CADシステムの開発

今や,製品設計においてCADシステムは必要不可欠なものです.ライフサイクル設計においても,CADシステムの構築が求められています.その実現に向けた設計支援環境として,我々の研究グループでは,ライフサイクルCAD(LC-CAD)と呼ぶCADシステムを開発しています(図1参照).

​本システムでは、製品とそのライフサイクルフローを統合してモデリングすることが可能です。具体的には、製品を階層構造で表現し、ライフサイクルフローをライフサイクルプロセス(処理:製造、使用、回収、リサイクル、埋立など)のネットワークとして表現しています。これら2つのモデルを対応付けてモデリングすることで、製品およびその構成部品が一生を通じてどのような処理がなされ、またその過程でどのように変化するかを表現することができます(図2参照)。

図1:LC-CADシステム

図2:製品モデルとライフサイクルフローモデル

図3:事例検証(対象製品:スマートフォン)

2.   アジア圏内での資源循環に関する研究

卒業研究

(近日更新予定)

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